仕事などで疲れて少し心が荒んでいる時、意外なもので心が癒される経験はあるかと思います。
僕も最近少し忙しく、疲れてしまっていました。
肉体的にはそんなに疲れていないけど、なんか心が重いような時、ありませんか?
僕は普段漫画は好きなのですが、読み切りでの漫画はあまり読みません。
しかし、疲れていたこともあり、長い連載物ではなく短い物語がなんとなく読みたくなったのです。
そんな時、評判だけで何気なく購入した『式の前日』という漫画に思わず涙してしまい、そして心がとても癒されました。
この作品を読んで、むしろ短い読み切り漫画である方がおそらく描くのも難しいだろうし、それがうまく詰め込める作家さんというのはすごい、と考えを改めるきっかけにもなりました。
というわけで今回は、ぜひ同じように心すさんじゃってる方にこそ読んでほしい、すぐに読めてきっとあたたかい感動に包まれるであろう傑作『式の前日』についてのお話。
秀逸な短編6編から構成される読み切り漫画『式の前日』
おそらく漫画通な人は知っている作品なのかも知れませんが、穂積さんという漫画家さんのデビュー作で、かなりの高評価を今でも得続けています。
僕は全く知らなかったので、本当に適当に、なんでもいいやな気持ちで読んでみたのですが――こんな風に素晴らしい漫画に出逢っちゃうこともあるものなんですね。
『式の前日』は6つの短編から構成されており、それぞれの話は独立していて繋がりはありません。
基本的に全ての話は2人の人物を中心に展開していきます。
表題の物語、『式の前日』ではタイトルの通り結婚式の前日を過ごす男女のお話。
ありきたりなシチュエーションかと思いきや、最後にはしっかり泣かされる様々なエッセンスの凝縮された傑作です。
全編に言えることですが、一度読んだ後はもう一度読み返したくなるのもこの漫画の特徴でしょう。
2つめの『あずさ2号で再会』は、父親と幼い娘との物語。
少しだけワケアリなよくある話かと思いきや、タイトルとも意外な形でリンクするラストでやっぱり泣かされます。
ピュアな心で読みましょう。
僕の個人的な意見として、この漫画の中でも一番好きなお話でした。
3つめの『モノクロ兄弟』は、双子の兄弟の会話中心のお話。
僕も男兄弟の長男だったりするので、なんともじんわり考えさせられるような展開と、やっぱりどうしてもホロリと泣かされてしまう最後に心が癒されます。
次の『夢見るカカシ』は前編・後編に分かれた少しだけ長いお話。
これ絶対キンコン西野さん好きだろ、っていうようなお話。
むしろプペルってここから着想得てたり……とか想像しちゃう内容。
唯一日本ではなくアメリカが舞台のお話なので、他作品と比べるとちょっとだけ共感しにくいような気はしました。
『10月の箱庭』は貧乏暮らしをする作家と親戚の女の子とのお話。
意味深な冒頭と、謎のカラス。
最後にはしっかりと予想を裏切られ、じんわり感動させられる不思議なお話。
最後は『それから』というお話。
それから? って、夏目漱石の作品にもあるよな――と思っていたらまさかの全力漱石リスペクトな作品。
しっかりと最後はあったかい気持ちにさせられる現代版吾輩は猫である。
セリフの無いコマまで美しい
すごいなぁ、と思う漫画ってセリフのないコマでも様々な事を表現しますよね。
特にこの『式の前日』では、何気ない会話や暮らしの中の人物一瞬の表情であったり、間であったりをセリフの無いコマで実に上手く表現しています。
作者である穂積さんの観察眼といいますか、それを表現する方法の巧さのようなものを随所に感じることができます。
因みにですが、僕は結婚していますが式も挙げておらず新婚旅行も行っていません。
おそらく今回この『式の前日』という漫画を読もうと思ったのは、深層心理で式へのあこがれのようなものがあるのかも知れません。
妻も別に挙げたくない派なので問題はないのですが、友達の結婚式に呼ばれ華やかな衣装であったり雰囲気であったりを見てしまうと「挙げたかったなぁ」なんて思ってしまいます。
この漫画で描かれていたように、結婚式というのは良くも悪くも一つの大きな区切りにはなってしまうのでしょう。
この漫画では、決してただ悲しいわけではなく、それこそ友人の結婚式へ出席してもらい泣きしてしまうような、幸せな感動をもらうことが出来ました。
読み切り漫画なので気合を入れる必要もありませんし、ぜひちょっと心が疲れているなぁ、と思っている方は読んでみて欲しいです。
きっとあったかい気持ちになれますので。
『式の前日』を無料で読む方法
以前漫画の目的別おすすめサービスという記事を書かせていただきました。
この『式の前日』は一巻完結の読み切り漫画なので、U-NEXTであれば無料お試し登録でもらえるポイントを使って無料で全て読むことが可能ですので、オススメです。
また、とりあえず試し読みしてみたい!ということであればebookJapanで読む事が出来ます。
Amazonや楽天、kindle版での検討はこちらで可能です。
作品としては2012年の作品ですが、時を経ても全く色褪せない宝石のような6編が収録されています。
すぐに読めてしまいますので、あたたかくて幸せな感動をぜひ味わってみて下さい。
以上、お読みいただきありがとうございました。
コメント