超大作だからとか、久々の大作映画公開だからとか、ワーナーが力入れてるからとか、様々な『TENET/テネット』を見る理由がそれぞれあると思うのですが、僕はシンプルに
クリストファー・ノーランだから見た
が、この『TENET/テネット』を見た理由です。
過去にこのブログにてクリストファー・ノーラン作品のオススメを紹介していますが、それもノーラン監督が大好きであるだけで、また僕がノーラン作品に魅かれる理由は作品の雰囲気が好きだからです。
内容が難しめだったり芸術的だったりとか色々言われますが、あまり僕はわかりませんのでシンプルに雰囲気がツボなだけでノーラン作品は欠かさずずっと見続けています。
それはともかく、『TENET/テネット』の話。
見た感想を短くまとめれば、タイトルでも書いてますが
ずっとやりたかったアルバイトの出勤初日みたいな気分になる映画
でした。
ちなみにですが、これは全くネガティブな意味じゃありません。
どういうことか、ネタバレ無しで書いてみようと思うので、まだ見ていない方も安心してお読みください。
特に、
・『TENET/テネット』を見ようか迷っている方。
・しっかり予習してから見た方がいいのか悩んでいる方。
・良い所も悪い所も知りたいという方。
の、どれかに当てはまる方には参考にして頂ければと思います。
しっかりとエンタメ超大作だった
予備知識が少しでもあれば、内容が複雑であることへのある程度の覚悟はして見に行く方が多いだろうとは思います。
僕も当然そうでしたし、「ノーラン+主要テーマが時間+時間の逆行までするらしい」という予備知識だけでも、下手すりゃ置いていかれるな……という予感は十分あったわけです。
そういった事前知識はおそらくCMや広告を見た方ならわかるかと思いますので書かせて頂きます。
僕が不安だったのが、「ただの小難しいだけの内容だったらイヤだなぁ」ということ。
しかしそこはご安心下さい。
映画冒頭からしっかりとかっ飛ばしてくれます。
どんなシーンから始まるかは伏せますが、超大作エンタメ系映画っぽくかなりドキドキワクワクする始まり方で、ちゃんとノーラン監督が「最高の映画体験」を観客にさせてくれようとしているのを感じることが出来ます。
あと音楽が最高に良かったです。
『TENET/テネット』ではノーラン監督と言えば――なハンス・ジマーではなくルドウィグ・ゴランソンが音楽を担当しているのですが、作品の雰囲気と実にマッチした、それでいて観客を焦らし興奮させてくれる素晴らしい楽曲の数々でした。
映画全体のテンポも超良い
この映画、150分ありますので、結構長めです。
しかし全体的なテンポはかなり良く、ギュギュっと詰め込まれているように感じました。
故にあっという間に見終わってしまうのですが、1つだけこのテンポの良さがもたらすデメリットがあります。
『TENET/テネット』の予告で、GACKTさんがこの映画を見る予告を見たことがある方もいると思いますが、まさにあの予告でGACKTさんが言っていた言葉がその通りだと思いました。
必死。
と、予告の中でGACKTさんは言っていました。
※動画あったので貼っておきます↓
何が必死って、ちょっと内容が複雑なのは予想していたわけですから、なんとかして初見から全部理解したいと思うわけです。
でも、作品のテンポが良すぎるので、「ん? これはもしかして……」などと考えているヒマが全くないのです。
作品内では時間だったり逆行だったりが描かれているのに、観客には逆行して考えるスキを全く与えないという、鬼のノーランです。
つまりもう観客は必死になるしかないのです。
僕も目を見開いて頭をフル回転させて本気鑑賞してました。
クライマックスにはきっとあなたの脳はぶっ壊れていることでしょう。
でも、しっかり度肝抜かれますので大丈夫です。ノーラン監督が良い意味でのド変態であることがわかります。
アルバイト出勤初日な気分になる映画、の意味
『TENET/テネット』は興奮する要素満載で、めちゃくちゃ面白いのです。
でも、全体の大まかな流れしか初見ではわかりませんでした。
アルバイト初日って、「とりあえず今日は流れだけ覚えてくれればいいから」って先輩に言われませんか?
ずっと働きたかったバイト先での初日。緊張しますし、楽しみでもあります。
先輩達はまだ自分の理解できない技術や道具を使って楽しそうに働いている。
早く理解して一緒に働けるようになりたいけれど、今日はまだ流れを覚えるだけ。
すごく働き甲斐のある楽しいバイトだということはわかった。
でもとにかく今日は流れを知るだけ。
――そんな感じ。
そして『TENET/テネット』初見も、全体的に最高に面白そうな流れはわかったけれど、今日は初日だからまだ全部は教われないし理解できない部分だらけ――そんな感じ。
そしてバイト初日も『TENET/テネット』初見でも感じるのが、
「最初っからもうちょっとわかりやすく教えてくれませんか?」
ということ。
ノーランパイセン、僕まだ初出勤なんですよ?
――では、しっかりと万全な予習をしてから見に行くべきなのかどうか?
これは難しい問題でして、僕は僕なりに「仮にガッチガチに予習してから見に行ったらどうだったか?」を想像してみたのです。
その結果、
それでも予習せず見に行った方が楽しめる
という結論に至りました。
やっぱり、よくわからないながらも「あれ? もしかして今のシーンは……」みたいに小さな閃きを重ねつつ見ていく方が面白いと思うのです。
そして、この『TENET/テネット』が挑戦的だなと思うのが、一回見ただけじゃほとんどの人が完全理解できないだろうとわかりきっている作品だと思うことです。
これって賛否の否にも直結しちゃうポイントです。
やっぱり映画は気楽に見て、しっかり理解できた上で物語に浸って楽しい気分で帰りたい――と思う人はいっぱいいます。
僕だってどちらかと言えばそうです。
しかしこの『TENET/テネット』はおそらく初見で理解するのが極めて難しい構造になっていて、しっかり理解するには最低でも2回見る必要があると思います(2回じゃわからない可能性激高ですが)。
となると、「じゃあこの映画って何がしたいのさ?」という疑問が出てきます。
考えるな、感じろ
映画を見た限りでは一回で理解させる気はないですし(もちろんヒントは無数にちりばめられていますが、それらヒントですら複雑になる要因になってる気もしました)、冗談抜きで下手をしたら冒頭からパニクる可能性すらある映画です。
で、僕も映画を見終わって劇場を後にしてから考えたのですが、
映画を見たなぁ、という満足感というよりもすごい体験したなぁ、という満足感
の方が強かったのです。
逆行もしちゃう映像はもちろんのこと、音楽も最高でしたし、テンポの良い展開もそうです。クライマックスにかけての怒涛の超展開は手に汗どころか脳が汗かいてパンク寸前です。
さらに、何度も書いているようにこの映画は「2回目を見る」ことを要求してきます。
そして多分、2回目は初見時の数倍面白く見ることが出来るはずなのです。
なぜなら1度見て流れはわかっていて、2回目を見る方はほぼ確実に様々なネタバレや考察も読み漁るはずだからです。
すると初見ではチンプンカンプンだった箇所もしっかりと「繋がった」感を感じながら見れるわけで、やはりそれは「体験」だと思うのです。
初見時は考えれば考えるほど混乱しますから、「感じる」ように見るのがいいのかも知れません。
ノーラン監督がいかにすごい監督であるのか、メイキング映像の中で全俳優がノーラン監督を褒めている事からも、現場を重んじ、映画を超絶愛している(そして007が好きな)監督であることがよくわかります。
まとめ:良くも悪くも超大作で話題作
本当はこの映画への考察記事を書こうと思っていたのです。
しかし、そもそも映画ブログじゃないですし、何よりも「本気で難しかった」ので考察もクソもありませんでした。
最後に超凡な僕なりに『TENET/テネット』の良い点と悪い点を並べてまとめとしたいと思いますので、参考にして下さい。
良い点
・クリストファー・ノーランの本気っぷりがひしひしと伝わる超大作。
・何度も見たくなる緻密かつ複雑な構成。
・最高に盛り上げてくれる音楽。
・どうやって撮ったの? と思っちゃう映像の数々。
・SF好きにはたまらないであろう設定。
悪い点
・長い。
・何度も見ないと理解できない可能性のある複雑な構成(何度見たってわからん可能性すらある)。
・タイムリープものへの耐性がゼロだとツライ。
・下手すると序盤から全部わからなくなる。
ちなみにですが、僕も当然色々な方のブログなんかで考察記事を読み漁りましたが、それでもやはり全部納得! という状態にはなっていません。
あくまでも皆さん考察ですし、最終的には答えはノーラン監督の頭の中にあるので全解明は無理なのかもしれません。
『TENET/テネット』……本当に、とんでもない映画です。
見ることをオススメするか? と聞かれたら、文句なしでオススメします。
なぜなら、ここまで映画鑑賞後に考えまくった映画は初めてだからです。
こんな映画初めて、というよりも、やはりこんな体験初めて、という感想です。
ノーラン監督作品をまだ見ていない方は、とりあえず無料で登録できるような動画配信サービスで見てみることをオススメします。
一番オススメなのは『インセプション』。
夢の中に入り込んだりしちゃう話で、やはり『TENET/テネット』ほどではないですが複雑な構成になっていて、かつ超面白いです。
無料で一か月間は試せる動画配信サービスのU-NEXTなどで是非見てみて下さい。
コメント