靴磨き、してますか?
以前このブログで靴の寿命に関する記事を書きました。
↑記事での結論としては、アッパー(靴の底以外の本体の部分)がダメになると基本的には修理もできず寿命かも、と書きました。
そうならない為にも、定期的に靴の手入れをしてあげることはとても大切です。
それをするかしないかで、靴の寿命というのは断然変わって来てしまいますから。
そして、
「靴磨きをガッツリやろうと思うと、専門的な知識だったり膨大な道具が必要なんでしょう?」
と思い込んでなかなか自分でやるまでに至らない方もいるかと思います。
しかしそれは大きな間違いで、最低限の道具さえ揃えれば全然気軽に出来ますし、そこをやるかやらないかだけで繰り返しになりますが靴の寿命は大きく延ばせるのでやらない手はないのです。
というわけで今回は、スムース革の靴(一般的な革靴は大体これ)、エナメルの靴、スウェードの靴のそれぞれの手入れ方法と最低限必要な道具をご紹介します。
スムースレザーの靴の手入れ・磨き方
まずは一番出回っているであろうスムースレザーの革靴の手入れから。
もうあまり履かなくなってしまったのですが僕の革靴を参考画像に。
画像だとちょっとわかりにくいのですが、ホコリも被ってるし白っぽく汗染みみたいなものも浮き出ています。
スムースレザー靴の手入れに必要な道具
まずは上の画像をご覧下さい。
ブラシが2つに汚れを落とす為のリムーバーが1つ、そしてクリームと磨き上げる為のTシャツの切れ端(たぶんユニクロの)が2枚。
なんだか色々ありますが、ここからさらに減らしても大丈夫です。どこを減らせそうなのか、手入れの順番と共に説明します。
1・汚れを落とす
まずは汚れを落としましょう。
普段履いていて付着した汚れはもちろんですが、以前もし靴磨きをしていれば、その時のクリーム残りも一旦落としてあげる必要があります。
まず一番最初に使うのが、画像左上の馬毛ブラシ。
豚毛ブラシが馬毛ブラシの下にあるブラシで、馬毛の方が柔らかいです。
その馬毛ブラシで、靴全体の汚れを掃き落としてあげましょう。
文字通り、ホウキのように掃き落とすのです。
次に、Tシャツの切れ端のような布(綿であればなんでも。ティッシュなどは善意の目が粗い為、革を傷付ける恐れがあるので避けた方が吉)にリムーバーを少し付けて、全体を拭き上げます。
どうやって?なんて難しく考えず要は大体きれいになればいいので気楽にどうぞ。
さてここで僕からの横槍。僕の見解です。
この汚れ落としは、地味に大切な作業ですから、必ずやった方がいいです。
ただし、あるに越した事はありませんが、馬毛ブラシはなくても大丈夫です。
さらに、リムーバーもあるに越した事はありませんが、なくても大丈夫です。
その代わり、しっかりホコリなどは息吹きかけてもいいし布で乾拭きしてもいいのでしっかり落として、リムーバー代わりには軽く濡らした布切れをしっかりとしぼり、全体を拭き上げましょう。ビショビショの布で拭いてシミになっちゃった、なんてことも起こりかねないので慎重に。よくしぼってやって下さい。
要は、汚れを落とす作業ではとりあえず目立つ汚れと元のクリームが落ちてりゃOKなので変にこだわって嫌にならないで欲しいです。
2・クリームを塗り込む
次に、クリームを塗り込んでいきます。
クリームは当然その靴の色に合わせた物を持っていればベストですが、薄い茶色だったりちょっと意味わからない色味だったりする靴を持っている場合は、ニュートラル(無色)のクリームでも大丈夫です。
無色でも、磨いて栄養を与えてあげると思った以上に色味が濃くなったりツヤ出たりしますので。
では塗り方。僕は、直で指で塗ります。
プロの磨き職人の人達がそうやってるの見て以来そうしてます。何より塗りやすい。あとかっこいい(気になれる)。
ただし、アッパーとソールの間とかに上手く塗れなかったりするのと、当然手が超汚れるので、ちょっとこだわりたければペネトレイトブラシを持っておくと良いです。こういうやつ↓
因みに、磨いてる自分の姿にこだわりなければ使い終わった歯ブラシとかで代用しても全然OKです。
よく、塗るクリームの量が議論されてるのを見ますが、靴磨きの職人さんでも意見がバラバラだったりするので、自分の思う適量で良いかと僕は思います。
僕は割とたっぷり塗ります。
だってその方が栄養与えてる感ありますし。
実際に革にとって良いのかどうか、それは革の心の声を聞きましょう。
3・ブラシでクリームを馴染ませる
次に、豚毛ブラシ(ちょっと固めの、画像左上の馬毛ブラシの下)でガシガシクリームを馴染ませていきましょう。
固い毛質ですし、ガシガシやるのに抵抗あるかも知れませんが、豚毛ブラシはガシガシとパワーで擦り込むのが正解。
ブリフトアッシュ(有名な靴磨き専門店)の人も言ってましたので間違いないです。
クリームを塗る作業の部分で、歯ブラシもペネトレイトブラシも持ってなくて己の指でいきたい派の僕みたいな方は、ここでしっかりアッパーとソールの隙間にもクリームを伸ばし込むようにしましょう。
4・しっかりと磨き上げる
最後に、布切れで良いのでしっかりと全体を乾拭きします。
結構ここ大事です。
最後にしっかり磨き上げることで、革質にもよりますがツヤを抜群に出す事ができます。
ここで使う布切れはリムーバーを塗った布切れとは別にしたいところですので、布切れは2枚必要です。
そうして磨き上げてあげれば……
ちょっとビフォーアフターが視覚的に微妙ですが、だいぶツヤが出て綺麗になってます。
何よりこれで革に栄養を与えられたので、寿命も延ばせます。
ね、簡単でしょ?
最後に使用した道具をまとめておきます。
必須ではないがあると汚れ落としに便利⇒馬毛ブラシ
必須ではないが出来れば欲しい⇒汚れ落とし(リムーバー)
合う色か無色が絶対に必要⇒靴クリーム
クリームを擦り込んでいく上で必須⇒豚毛ブラシ
繊維の粗いもの以外であれば何でもよいが必須⇒布切れ
指でクリーム塗るのがいやなら⇒ペネトレイトブラシ
スムースレザー番外編
ちょっとここで番外編。
スムースレザーと呼ばれるものには、ガラスレザーも含まれます。
ガラスのような光沢のある、樹脂コーティングされた革の事です。
REGALの靴に多いイメージ。
これは、今書いたようにコーティングされちゃってるので普通に磨いてもクリームが浸透しません。
ちょっと僕は試したことがないのですが、コードバン用(コードバンは馬のおしりの革)のクリームが良いらしいのでガラスレザーの靴磨きをする際には試してみると良いかも知れません。
それと、靴クリームの凄さを試したくて以前友達とふざけてやった画像を貼っておきます。
もう履きすぎてもやしみたいななった捨て待ち靴をクリームだけでどこまで綺麗にできるか実験した時の物です。
これ↑を、ブラウンのサフィールのクリームで仕上げて、
案外クリームだけでも復活できるものです。
靴磨きと靴クリームの凄さ、ぜひご自身で体験してみて下さい。
エナメル靴の手入れ・磨き方
お次はエナメルの靴の手入れ方法と道具です。
エナメルは靴の寿命の記事でも書いたように、革の上に樹脂コーティングをしたもの。
故に、普通の靴クリームで磨いても意味がなく、それ専用のクリーナーが必要になります。
今回は妻の捨てる予定なパンプスを実験台に。
こちらもわかりにくいのですが、かなりくすんでいて汚いです。
では、エナメル靴の手入れに必要な道具は何が必要なのか、ご紹介します。
エナメル靴の手入れに必要な道具
スムース革と同様、Tシャツの切れ端と、エナメル用のクリーナー。
それだけ。
なぜ少ないのか?
その理由も併せて、磨き方を説明します。
1・汚れを落とす
やはり汚れを落とすのは大切。
画像右のエナメル用クリーナー(エナメルはパテントとも呼ばれるのでパテントレザー用と書かれていればエナメルの事です)を布切れに少し染み込ませて、全体をしっかり拭いていきます。
ベシャベシャつける必要はありませんが、ある程度全体がしっかり濡れた状態で拭けるぐらいはこまめに染み込ませていきましょう。
2・磨き上げる
さてこのエナメル用クリーナーの凄いところは、汚れ落としとツヤだし効果を併せ持っているところ。
これが道具が少なくて済む最大の理由でもあります。
全体の汚れを落としたら、布切れを替えて乾いた布切れでしっかり磨き上げましょう。
それだけで、とんでもなくツヤが出るはずです。
これまたセンスがアレでいまいち伝わらないかも知れませんが、素晴らしく光ってます。
さらに汚れもほぼ全て落ちました。
よく擦り付けたキズのようにカカトや甲の部分に黒いナニカが付くことがあると思うのですが、ああいうのもほとんど落とせます。
ただ、あれを落とすには根気と力が要りますが。
エナメル靴はエナメル用クリーナーさえ持っていれば劇的に、かつ簡単に綺麗に出来ますので、一足でもエナメル靴がある方は絶対にクリーナーを持っておくべきだと思います。
靴磨きはスムースレザーを丹念に磨いてこそだ!
みたいな考えの磨きマニアさんでなければ、このエナメル靴磨きは結構楽しいです。
わかり易くツヤが出てくれますので。
エナメル靴のお手入れで使用した道具をまとめます。
汚れ落としとツヤ出しを両方に必須⇒エナメル用クリーナー
クリーナーと磨き上げ両方に必須⇒布切れ
スウェード靴の手入れと必要な道具
最後はスウェード靴の手入れです。
スムース、エナメルとまた全然違う特性のスウェード。
スムースはなめらかな革、エナメルはコーティングされた革、スウェードは毛を立たせた革です。
今回も妻の、これは現役でたまに履いているらしいスウェードローファーです。
汚れが色々と着いているのと、つま先がだいぶ色あせてます。
スウェード靴の手入れに必要な道具
↑こちらがざっとスウェード靴をケアする為の道具達です。
1・汚れを落とす
この手順だけは全革共通ですね。
スウェード靴もまずは汚れを落とすのですが、起毛している為ちょっと普通にゴシゴシとはしにくいです。
そこで使うのが、画像左のブラシ、スウェードブラシです。
比較的固い毛のブラシで、中央に金属製の毛が植えられているものも多いです。
まずはスウェードブラシで全体をブラッシングし、汚れを落としましょう。
毛が寝るように固まってしまっている部分などは、基本的にブラシだけでなんとかなったりします。
そして頑固な汚れには、画像下のゴムを使います。
ちゃんとスウェード用に売られていますが、マジで消しゴムでも全然OKです。
スウェード靴はちょっと特殊で、汚れを落とすというよりは「削り落とす」イメージでゴムで汚れを落としましょう。
プロの方も、紙ヤスリで汚れを軽く削る方法をする方もいるぐらいです。
ただ、当然あまり執拗にやりすぎると毛がなくなってしまったり、ハゲたりするのでほどほどに。落ちないものは落ちません。
2・栄養を与える
次に、栄養を与えてあげます。
今回は二種類の方法をご紹介します。
まず画像一番右の背の高いスプレーが、スウェード用の防水スプレーです。
一般的な防水スプレーと異なり、スウェード用の防水スプレーは同時に栄養も与えられるので、無色(ニュートラル)のものであってもかけてあげるだけで色が濃く見えるようになります。
色もバリエーションがあるので、同時にしっかり着色したければ色付きのものもアリです。ただ、適当に掛けられなかったり(インソールにも色がついちゃう)、色がブレるリスクもあるので難度は上がります。
最低限、として考えればこのスウェード用防水スプレーが無難でしょう。
そしてちょっと踏み込んだケアとして、今回は画像右から二番目のスウェード用のローションを使用してみました。
これは妻がこの靴を買った時に併せて買ったもので、色もネイビーブルーです。
無色のものもあるので、スプレーよりもピンポイントで塗りたい場合は選択肢に入るでしょう。
ローションと言っても、フタを開ければスポンジが付いており、ポンポンヌリヌリと簡単に出来るようになっています。
それをやった結果……
汚れも落ち、色も結構濃くすることができました。
このようにローションを使った場合は毛が寝ちゃっていることが多いので、最後にもう一度ブラッシングしてあげれば完璧です。
汚れ落としと毛を立たせる効果で絶対必要⇒スウェードブラシ
こびりついた汚れがあるなら使ってみては?⇒スウェード消しゴム
栄養補給と防水効果で絶対持っておくべき⇒スウェードスプレー
スプレーではない方法でヌリヌリしたいなら⇒スウェードローション
まとめ
それぞれの革靴の手入れ方法、簡単に、かつ最低限のものでご紹介しました。
一応、しっかりと要点を抑えて最低限で説明したつもりではありますが、これでも難しく感じた方はもっともっと簡略化しても良いと思います。
大事なのは、最初の入りはどうであれ、やることですので。
ご自身の靴が安かろうが高かろうが、お手入れしてあげることで寿命を延ばせるのは事実です。
ぜひまだ一度も自分で挑戦したことのない方はやってみて欲しいです。
ハマる人はとことんハマります。
そうでなくても、自分の履く靴への愛着は増しますし何かしらの楽しいポイントがきっとあると思います。
そして深く知りたくなったのなら、どんどんプロの磨き職人さん達のことを調べてみて下さい。
とんでもなく奥が深いので。
僕は最低限で十分です。
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