【美しい秋の虫の音】最低限知っておきたい秋に鳴く虫の種類と鳴き声【鳴く理由は?】

暑かった夏も終わり、涼しくて過ごしやすい秋がやってきます。

風流を重んじる日本人は、音の変化にも敏感です。

夏まではセミが主役で暑く灼ける世界を盛り上げてくれていました。

そしてセミの鳴き声も少なくなってきたころ、入れ替わりで秋の虫達が美しい声で鳴くようになります。

僕も仕事で疲れて帰っている道中で、静かに優しく「リーン、リーン」と鳴く声に癒されています。

ところで――秋の虫達の鳴き声が美しいのは多くの方が感じていることだと思うのですが、一体どんな虫が、どの鳴き声を出しているのか、知っているでしょうか?

僕は正直ほとんど知りませんでした。

しかし、日本で暮らし四季を愛する我ら日本人、美しく鳴く虫への知識が皆無とあってはなんだかもったいない気がします。

そこで今回は、最低限知っておきたい秋に鳴く虫の種類と鳴き声をご紹介。

全て動画で姿と鳴き声がわかるようにご紹介するので、是非とも虫の音にまで精通している小粋な日本人を目指して覚えてほしいです。

鳴き声は非常に美しいのですが、姿はやはり虫ですので、虫が超苦手な方はご注意下さいませ。また、数が多いので気になる虫がピンポイントでいる方は目次クリックで飛んでください。

チンチロリンと鳴くマツムシ

まずはマツムシです。

童謡の『虫のこえ』をご存知でしょうか?

僕も子供の頃に良く聞いた童謡で、歌い出しは

あれまつむしが 鳴いている

チンチロチンチロチンチロリン

で始まります。

確かに聞いてみるとマツムシは「チン・チロリン」と鳴きますね。

そして、チンチロリンと言えばサイコロを使った賭博の名前でもあります。

それを知った上でもう一度聞いてみると……

サイコロを振った時の音にも聞こえてきます。もしかしたらサイコロを振った時の音と似ているから、洒落て「チンチロリンという鳴き声」と言うようになったのかも知れませんね。

マツムシは日本に古くからいるパイセンなのですが、外来(と言われている)アオマツムシが大量に繁殖した結果、都市部ではなかなかマツムシを見ることが難しいのだそうです。

少し寂しいですね。

マツムシの声は夏の終わりから秋の間まで聴くことができます。

なぜ虫たちは鳴くのか?

秋に鳴く虫全般に言えることですが、鳴く理由と言うのは

・メスを誘う求愛

・敵への威嚇

・縄張りを守る為の存在アピール

のどれかである事がほとんどなようです。

また、鳴くと言っても口から音を出しているわけではなくほとんどの種類は二枚の羽をこすり合わせるようにして鳴きます。

リーンリーンと鳴くスズムシ

お次はスズムシ

本当に鈴を鳴らしているかのような、高くて美しいリーン、リーンという音を出します。

童謡『虫のこえ』でも、

あれすずむしも 泣き出して

リンリンリンリン リインリン

と、しっかり登場します。

スズムシの鳴き声は9月いっぱいは聴くことができます。

リリリリリ……と鳴くクサヒバリ

少し高い音でリリリリリリと鳴くのがクサヒバリ

鳥のヒバリの名を冠しているだけあって、美しい鳴き声です。

身体の色が木の色に近い薄い色をしているので、見つけ出すのは相当難しいのだとか。

――というか今回の記事での動画すべてに言えますが、よく撮ったなぁ、と感動です。

クサヒバリも夏の終わりから秋の間で聴くことができます。

低めにリリリリリリリ……と鳴くカンタン

比較的低めの音でリリリリリリ、と鳴くカンタン

僕の中では、このカンタンの鳴き声が一番「秋だなぁ」と思えるのですがいかがでしょう?

カンタンの声は遠くで聴いたり、草むらから漏れ聴こえてくるのを聴く分には美しいのですが、近距離で聴くとそうとううるさいみたいです。

確かにイヤホンして動画の鳴き声聴いてると、電磁波喰らってるようでちょっとおかしくなりそうです。

ヒリヒリヒリヒリ、と鳴くエンマコオロギ

非常に馴染みのあるヒリヒリヒリヒリという鳴き声のエンマコオロギ

お恥ずかしながら、このエンマコオロギが職場の店内でよく出没しているのですが(どこから来るのか謎ですがよく見るのです)、こんなにステキな声で鳴くとは知りませんでした。

というか、「この声がキミだったのか!」という驚きです。

因みに抜群に美しい声なのに「エンマ」という名がついている理由は、顔回りの模様がイカツイ顔に見える為に付けられた名前なのだとか。

次に会ったらよろしくね、エンマコオロギさん。

リーリーリーリーと泣くツヅレサセコオロギ

鳴き声よりも名前が気になっちゃうツヅレサセコオロギ

一定のリズムでリーリーリーリーと鳴きます。

このコオロギの名前ですが、鳴き声を聴いた昔の人が「肩刺せ裾刺せ綴れ刺せ」と、まるでコオロギが着物の縫いを催促しているかのように聴いたのが由来なのだとか。

ちょっとどう聴いたらそうなるのかわかりませんが、昔の人の感性が凄まじいということで。

ティンティンティンティンと小刻みに鳴くカネタタキ

小気味よく高い音をティン、ティン、ティン、ティン、と鳴らすのがカネタタキ

まさにカネを叩いているかのような綺麗な鳴き声です。

このカネタタキの凄いところは、なんと今回ご紹介する秋に鳴く虫の中でも特に遅い時期まで生きていられること。

個体によっては12月までその鳴き声を聴くことができるので、冬になっていても秋気分が体験できます。

また、その特徴的な鳴き方から比較的聞き分けやすい虫であると僕は思います。

実際、帰路で耳を澄ましてみるとカネタタキはすぐにわかりました。

リーン、リーン、リーンと間隔をあけて鳴くアオマツムシ

リーン、リーン、リーン、と鳴くのがアオマツムシ

マツムシと名前に入ってはいますが、鳴き声もマツムシとは大分異なります。

東京では最もよく聴くことのできる秋の虫の声なのだとか。

しかし先に書いたように、マツムシの数が減ってしまったのはこのアオマツムシが増えすぎたからではないか、と言われています。

でも、見た目も鳴き声も美しいです。

低めにリー、リー、リーと鳴くヒロバネカンタン

比較的低めの声でリー、リー、リー、と鳴くのがヒロバネカンタン

マツムシとアオマツムシが鳴き声も全然違ったのと同様、このヒロバネカンタンもカンタンとはかなり鳴き声が違います。

カンタンよりも乾燥に強く、また移動距離も長いようで、よりタフな種であると言えます。

リリリリ、リリリリ、と小刻みに鳴くハラオカメコオロギ

控えめにリリリリ、リリリリ、と鳴く姿が可愛いハラオカメコオロギ

他にうるさいヤツラ一杯いたよ? もっと大きく鳴いていいんだよ?

と応援したくなっちゃうような謙虚な鳴き声です。

名前のハラオカメというのは、頭部の下半分が膨れているようになっており、それがおかめのように見えるから。

ジーン、ジーンと鳴くマダラスズ

少し濁った音でジーン、ジーン、と鳴くマダラスズ

動画を見ると、名前の通りに綺麗に入ったまだら模様が美しいです。

マダラスズのスズは、スズムシのスズですので、マダラ模様のスズムシ類、というほどの意味。

今回紹介してきた秋の虫たちの中では、最優秀デザイン賞ですね。

小さくリッリッリッリッ、と鳴くミツカドコオロギ

リッリッリッリッ、という可愛らしい鳴き声は、僕が聴いた中では一番可愛いミツカドコオロギ

名前の由来は後ろから見た時に頭が3つのカドがあるように見えるからです。

さらには勇敢さもかなりあるのがミツカドコオロギで、自分より大きな他種にも全然ビビらず戦いを挑んでいくのだとか。

可愛い声なのにめっちゃ勇敢とかそれ惚れちゃうやつ。

スイーッチョンと鳴くハヤシノウマオイ

ここからは少しクセのある鳴き声の秋の虫たちを紹介していきます。

まずは、スイーッチョン、と超独特な鳴き声を持つハヤシノウマオイ

名前の由来は馬子が馬を追い立てる時の掛け声ににているからとのこと。

なんだか舌打ちされてるようにも聞こえるのは僕だけでしょうか?

因みにこのウマオイは見た目は一緒だけど鳴き声が異なるハタケノウマオイという種類がいるのですが……それはもうただの罠ですね。テストに出たら泣くレベル。

カシャカシャカシャカシャと鳴くクツワムシ

パソコンぶち壊れたかと思ったわ!

というような不思議な機械音に似た音を出すのがクツワムシ。

このクツワムシも童謡『虫のこえ』に出てきます。

ただ、『虫のこえ』では

ガチャガチャガチャガチャくつわむし

と、もっとうるさい擬音で歌われています。

また、クツワムシは比較的大きめで、鳴き声も大きいです。

もしかしたら昔からうるさがられていたのかも知れませんね。

ジョリジョリジョリジョリと鳴くオナガササキリ

ヒゲでも剃ってんのか?

というような独特なジョリジョリという鳴き声のオナガササキリ

名前は、いかにも笹を切ってしまいそうなカッコイイ名前ですが、残念ながらキリギリスのキリです。

ただ、多く生息する場所はしっかり名前通りに竹林だとのこと。

まとめ:秋に鳴く虫を聞き分けるのはかなり難しい

秋に鳴く虫達の紹介、いかがでしたか?

正直なところ、僕は全然聞き分けられる自信がありません笑

変わった鳴き声のカネタタキや、舌打ちがちょっと怖いハヤシノウマオイあたりはもしかしたら判るかも知れませんが、風流で雅な夜に素敵にオーケストラされていたら多分聞き分けるのはかなり難しいんじゃないかと思います。

それでも、少しでも覚えておけばきっと秋の夜もグッと素敵なものに変わる事でしょう。

たまにはスマホやテレビを見るのを止めて、外を見てみて下さい。

明るく夜の世界を照らす月の光。

涼やかに鳴き続ける秋の虫の音。

それを眺めながら日本酒でも一献。

……贅沢な夜になると思いませんか?

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